ベトナムの教育システムは小学校5年、中学校4年、高等学校3年、合計で12年間であり、高等学校以上の教育システムは国際標準に基づいている。ベトナムの現行の法律では、義務教育は小・中学校終了まで保障されている。
学校で勉強する内容は、世界各国とは多少違うが、勉強する科目は一緒だ。公立の学校では、生徒は一般的に午前か午後だけ学校に通い、残り半日が復習の時間になっている。しかし、最近は一日学校で勉強する傾向も多く見られる。特に私立の学校では普通になっている。もちろん、勉強する科目が増えるわけではない。ただ、教育方法が充実して、教育と娯楽のバランスがちゃんととれているのである。
ベトナムでは、公立と私立のレベルや勉強環境が違うだけではなく、都市と地方の格差も大きい。世界並に設備が何でも揃っている学校もあれば、教室の中まで雨水が垂れたり、陽が差し込んだりする学校もたくさんある。学校の格差を比較してみれば、現在のベトナムの貧富の差も少し分かってくる気がする。
私立の中でもはっきり2種類に分かれている。それは国際標準のカリキュラムを使用する学校と、従来のベトナム標準のカリキュラムを使用する学校だ。最近、経済発展と共に、様々な国際標準の学校が建設されている。その多くが、政府直轄の5大都市-首都ハノイ、ハイフォン市、ダナン市、ホーチミン市とカントー市に集中している。ベトナムのような発展途上国にとって、これは確実な進歩の象徴であるに違いない。だが、これらの学校の学費は、たとえば高校の一番安いところでも375USD/月、一番高いところではなんと875USD/月(食事・制服付き)に上っている。このニュースを読んで、自分の目を疑うほどの高額に驚いた。一ヶ月の給料を100USDほどしかもらえない工業団地の労働者と比べると、何だか切なくなってしまった。
ところで、最近、教育問題として話題になっているのは、不登校の学生の増加だ(右表を参照)。社会的な背景としては、地方の経済力が乏しくて教育に力を注げず、社会・学校・家族の連携が薄くて、学生への配慮が行き届かないことが考えられる。 |
学生側の原因としては、家族が貧しくて学校に行けなかったり、成績が悪くて学校に行くのが恥ずかしく、やめてしまうといったことがある。他にも、家族がお金だけ与えて面倒を見ない、都市と地方との教育レベルの差、天災など様々な原因が存在している。
こうした諸問題の解決方法が、いくつか試みられている。雨季に洪水がよく発生する地方では、天災に影響されないように、学校の入学と卒業の時期をずらす決定権が地方政府にある。あるいは、小学校の就学期間を5年から6年に変更したり、学費免除の制度を採り入れたり、北部の高原地方では寒い冬季に冬休みを長くしたりするアイディアを採用している。
最近、ベトナムの経済はものすごいスピードで発展している。工業団地があちこちに建設され、そのお陰で仕事が増え、国民生活も昔より少し改善された。しかし、何事にも善悪両面があり、経済発展の裏には多くのマイナスの問題も発生している。教育の問題を通して、そうした現状を少しでも理解していただければ十分だ。この教育格差は、政府の介入がなければ解決できない。しかし、いつ解決できるかは誰にも分からないし、解決できない可能性もある。ベトナムの新聞で最近よく見られる言葉に、Song Chung Voi Lu(洪水と共に生きる)という言葉がある。ベトナムの状況に非常にぴったり合う言葉だ。解決できる見込みがない問題には、時間を費やして方法を探すよりも、その問題と共存するやり方を探る方がよいのではないかと思っている。
<最近5年間の不登校の学生数>
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小学校 |
中・高校 |
| 2003-04年 |
261,405(3.1%) |
580,511(6.3%) |
| 2004-05年 |
174,700(2.3%) |
679,485(7.6%) |
| 2005-06年 |
244,065(3.3%) |
625,157(6.6%) |
| 2006-07年 |
214,171(3.0%) |
186,600(2.1%) |
| 2007-08年 |
12,966(0.2%) |
106,228(1.2%) |
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