[総会・ツアー報告会]識字教室を小学校に-藤牧勝久さん・Oanhさんのお話を聞く / チャオ・ベトナム No.35
発行者:ジャパ・ベトナム事務局 発行日:2008年4月5日

小野 浩美
 2007年10月20日(土)幼きイエスの会会議室で、ベトナム・ツアー報告会、総会を開催した。今回は、ホーチミン市7区で小学校を運営している 藤牧さんとOanhさん夫妻をお招きし、お話をうかがった。
 藤牧さんは、15年前、ベトナムで福祉活動をしていたOanhさんと知り合い、結婚してベトナムに関わるようになる。自宅近くで、学校に行かない子ども達を見る中で、1990年に識字教室をオープン、その後1999年にはセント・ビンソン・チャリティ小学校を創立した。Oanhさんが、運営や実務のほとんどを担う。
 小学校を設立した理由を、彼は次のように話した。識字教室は子ども達の将来にとって十分ではないことに気がついた。工業区の工場で働くには、卒業証書がないと雇ってもらえない。また物心ついてから子ども達が中学や高校に行きたいと思っても、小学校の卒業証書がないと進学できない。そこで無料の私立小学校をつくることを考え、教育訓練局に出向いて話したら、自由にやりなさいという答えが返ってきた。公立小学校の分校という形で、生徒達は公立小学校に登録され、卒業証書をとることができる。3年前の教育改革で公立学校は自主運営が決められ、学校は生徒からお金を取るようになった。貧乏な家庭の子どもはますます学校に行けなくなり、無料の学校は必要とされている。
 もう1つ運がよかったのは、子ども達がビーズ製品をつくり、それで収入を得て生活を支え、学校に行けるようになったことだという。この実績の上でさらに、ベトナムに進出している日本企業に働きかけ、お金を出してもらって学校の建物を造り、運営はNGOに任せることを考えている。今企業に交渉中とのことだ。
 「話すのが下手なので、質問をしてくれたら答えられます」と藤牧さんが言うと、会場から次々と手が上がった。
[Q] どのような手順で生徒を公立小学校に登録するんですか?
[A] 各区にある教育訓練局で地域の小学校に生徒を登録したいと話すと、そこの校長先生が来てくれるので、話をし、すりあわせして同じカリキュラムを組み、分校にしてもらう。すると自分の分校に入学してきた子ども達が、小学校の生徒として登録される仕組みです。

[Q] 先生の確保や学校の運営はどうしていますか?
[A] 先生は資格を持った人が必要で、今、校長と5人の先生がいる。ホーチミン市には、教員免許はあるが就職できていない人が多くいて、先生は簡単に集まる。年間100万円の運営費がかかるが、今、先生の給料の70%をアクア(日本のNGO)の支援でまかなっている。あと最低限必要なのは、教科書代だが、うちでは、ビーズの利益を運営費に充てています。

[Q] ビーズに辿り着いた経緯は?
[A] 縫製や刺繍は熟練が必要だが、ビーズは経験がいらず、子どもの方がうまく作れる。作っていく中でだんだんむずかしいものができるようになる。今地方でも進めている。作った物を買い取ってあげるのが必要で、自分が年間1万個ぐらい日本に持ってきて売っている。米国やヨーロッパにもマーケットがあり、今後の可能性も見込める。
 他にもたくさん質問があったが、紙面の都合で割愛する。最後にOanhさんがベトナム語で挨拶し「ブンタウでもビーズ教室をはじめました。フエに行って、まだまだ学校に行けない子供がたくさんいるのを見ました。もっと他の子ども達のために力になっていきたい。」と語った。
 講演者と参加者が応答し合い、盛り上がって内容豊かな講演会となった。藤牧さんとOanhさんから伝わってきたのは、子ども達に対する深い愛情である。ジャパ・ベトナムの支援活動の中で、いろいろな識字教室を見てきたが、今回の話を聞く中で新たな視点に気づかされた。今後もお二人と、協力関係を続けていけたらと願っている。
藤巻さんと
Oanh さん。
Oanh さんは
腕のケガをおしての来日だった。




本紙記載記事の無断転載を禁じます